―損傷した靱帯を見極めた固定・テーピング―

こんにちは 和歌山市・和歌浦口バス停前
畠中整骨院 院長 畠中 健です。
お盆期間中いかがお過ごしでしょうか?
さて、最近多い部位についてお伝えさせて頂きます。
スポーツ中や日常生活で非常に多い「足首の捻挫」。
「足を捻っただけだから」と思われがちですが、実は足関節周囲には数多くの靱帯が存在し、どの靱帯を損傷したのかによって考えなければならないことが異なります。
当院では、腫れている場所だけを見るのではなく、受傷機転や徒手検査に加え、必要に応じて運動器エコー(超音波)を用いて損傷部位を観察しています。
足首の外側だけでも3つの主要な靱帯があります
一般的な「内側にひねった捻挫」で最も損傷しやすいのが、
- 前距腓靱帯(ATFL)
- 踵腓靱帯(CFL)
- 後距腓靱帯(PTFL)
からなる外側靱帯複合体です。
特に前距腓靱帯(ATFL)は損傷頻度が高く、より強い外力が加わればCFLなどを合併することがあります。
しかし、足関節捻挫はこれだけではありません。
「ハイアンクルスプレイン」にも注意
足首より少し上には、脛骨と腓骨をつないでいる遠位脛腓靱帯結合(syndesmosis)があります。
代表的なのが、
前下脛腓靱帯(AITFL)
です。
ここを損傷するものは「High ankle sprain(ハイアンクルスプレイン)」とも呼ばれ、一般的な外側足関節捻挫とは受傷機転や問題となる動きが異なります。
そのため、単純に「足首を捻挫したから、いつものテーピング」という考え方だけでは十分ではない場合があります。
内側の靱帯を損傷することもあります
足関節の内側には、強固な三角靱帯複合体があります。
外反や外旋方向の大きな力などによって損傷することがあり、外側靱帯損傷とは注意する方向が異なります。
さらに、距骨下関節周囲の靱帯や二分靱帯など、いわゆる「足首の捻挫」として来院されても、実際には別の部位を損傷していることがあります。
だから「どこを損傷したのか」を考えることが大切です
近年の足関節捻挫の臨床ガイドラインでは、急性外側足関節捻挫に対して、症状の程度や治癒段階などに応じてテーピングや装具などの外部支持を使用し、段階的に荷重していくことが推奨されています。
一方、重度損傷では短期間の固定が必要となる場合があります。
大切なのは、
「捻挫=全部同じ固定」ではない
ということです。
テーピングも目的を考えて行います
テーピングについても、損傷部位によって守りたい方向が変わります。
前距腓靱帯(ATFL)
底屈・内反方向でストレスが増えやすいため、過度な内反や底屈を抑えることを考えます。
踵腓靱帯(CFL)
内反ストレスとの関係が重要で、内反方向の制動を考えます。
ATFL+CFLなど複合損傷
単独損傷より不安定性が大きい可能性があるため、損傷程度を確認しながら、よりしっかりした外部支持が必要かを検討します。
三角靱帯
外側靱帯とは反対に、外反・外旋方向のストレスを考える必要があります。
前下脛腓靱帯(AITFL)などのsyndesmosis損傷
一般的な外側捻挫とは異なり、特に外旋などのストレスが問題になります。
つまり、
「どの靱帯を傷めても同じテーピングをする」のではなく、損傷部位と不安定性を評価して、何を制動するためのテーピングなのかを考える。
これが重要だと考えています。
テーピングなら何でも良いわけではありません
ここは医学的に誤解のないようにしておきたいところです。
研究では、テーピングや装具などの外部支持の有用性が報告されていますが、「この靱帯を損傷したら、この巻き方が絶対に最も優れている」とまで確立されているわけではありません。
また、外部支持だけですべてが解決するわけではありません。
関節可動域、筋力、バランス能力、固有感覚、競技動作などを評価し、適切なリハビリテーションを組み合わせることも重要です。
2026年に発表された急性足関節捻挫に対するキネシオテーピングのメタ解析では、短期的な疼痛や機能などに一定の効果が示された一方、長期的な効果については今後の検討が必要とされています。
当院では運動器エコーも活用します
当院では足関節外傷に対し、必要に応じて運動器エコーを使用します。
例えば、
前距腓靱帯(ATFL)
↓
踵腓靱帯(CFL)
↓
前下脛腓靱帯(AITFL)
↓
三角靱帯
↓
腓骨筋腱・上腓骨筋支帯
↓
骨表面や関節周囲
などを、受傷機転や症状に合わせて観察します。
エコーには、靱帯の状態だけでなく、実際に足を動かした状態で観察する「動態観察」や健側との比較ができるという大きな利点があります。
もちろん、すべての損傷がエコーだけで分かるわけではありません。
骨折、骨軟骨損傷、深部の靱帯損傷などが疑われる場合には、必要に応じて医療機関をご紹介し、X線・MRI・CTなどによる精査が重要になります。
「ただの捻挫」と考えないこと
足関節捻挫は非常に多い外傷ですが、
どの靱帯を損傷したのか。
どの程度損傷しているのか。
どの方向に不安定なのか。
固定が必要なのか。
テーピングで対応できる段階なのか。
これらを考えることが大切です。
当院では、長年培ってきた外傷への対応に加え、運動器エコーによる観察なども活用しながら、一人ひとりの状態に応じた施術・固定・テーピングを考えてまいります。
スポーツ中の足関節捻挫はもちろん、日常生活で足首を捻った場合も、お気軽にご相談ください。
畠中整骨院
和歌山市和歌浦西1-4-12
和歌浦口バス停前
TEL:073-444-0618
参考文献
Martin RL, et al. Ankle Stability and Movement Coordination Impairments: Lateral Ankle Ligament Sprains Revision 2021. J Orthop Sports Phys Ther. 2021.
Zuo H, et al. Is Kinesio taping an effective approach for acute ankle sprains? A systematic review and meta-analysis. EFORT Open Rev. 2026.
Kemler E, et al. A systematic review on the treatment of acute ankle sprain: brace versus other functional treatment types.
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